全国で100以上のクリニックを運営する大手美容クリニックグループが、大阪国税局から合計約62億円の申告漏れを指摘され、約12億円の追徴課税がなされたという記事が報道されました。https://www.sankei.com/article/20251010-2I4IPM4XPZJIBHWAGFTYAWQ5FA/
記事によると申告漏れの大半は、関連会社から医療機器を仕入れる際の仕入れ価格を過大に計上したことによるものであるとのことです。
この記事を踏まえ、ここでは、税務調査で指摘されやすい「関連会社間の取引」について解説をしていきます。
1.関連会社間取引における法人税法上の留意点
企業グループ内で行われる関係会社間取引は、グループ全体の効率化や経営戦略上、不可欠なものです。しかし、法人税法上は、利益の意図的な操作や移転に利用されやすい側面があるため、独立した第三者間の取引(独立企業間取引)と同等の適正性が厳しく求められます。
特に税務調査で問題視されやすい点としては「寄付金ないしは受贈益課税」の問題です。
関連会社間取引において、通常の取引価格(時価)とかけ離れた価格で取引を行った場合、その差額が寄附金または受贈益として課税されるリスクがあります。これは、実質的に一方の会社から他方の会社へ「経済的な利益の供与」が行われたと見なされるためです。
ただし100%の完全支配関係にある内国法人間ではグループ法人税制が適用されるため、「経済的な利益の供与」が行われたとしても、原則として支出した側は全額損金不算入、受けた側は全額益金不算入となります。つまり取引自体がなかったものとして所得の計算がなされます。
これにより、国内の完全支配関係内では、上記のような寄附金ないしは受贈益課税の問題が生じませんが、現在、医療法人で多くを占める「持分なし医療法人」では、そもそも出資金がないため、グループ法人税制の適用除外となり、通常の「関連会社間取引」にみる税務上のリスクを考慮した適正な企業間取引が求めらます。
2.まとめ
医療法人が関連会社間取引を行うにあたっては、税務上のリスクを避けるため、適正価格や条件で取引を行うことはもとより、いざ税務調査になったときに備え、価格算定の根拠となった資料を残しておくことが重要になります。
関連会社間取引は、一つ一つの取引の適正性だけでなく、グループ全体で利益の移転がないかを総合的に判断されます。判断に迷う場合は、一度、専門家である税理士にご相談することをおすすめします。